以前、カラスのコール猟(有害駆除)が出来ないか試した時のメモ。
『カラスの教科書』という本に、カラスがフクロウを攻撃する習性を利用したデコイ猟があると紹介されていて興味を持ったのが、そもそものきっかけである。
カラスのデコイを利用したコール猟について、非常に詳しく紹介しているサイトを見つけたので、これを参考にした。
Crow Busters - Beginner Techniques - Decoying and Calling
http://www.crowbusters.com/beg-techniques-decoying.html
フクロウに襲われたカラスが横たわっている様子を演出するために、Amazonでプラスチック製のフクロウ(実際はミミズク)とカラスのデコイを購入。カラスの鳴き声は、Youtubeで「crow call」 +「distress, excited,fighting」といったキーワードで検索した海外の動画から、興奮したカラスが鳴く声をMP3で入手した。
まずは海外のカラスが興奮する声を、カラスが止まっている木の近くなどで鳴らしてみたが、ハシブト・ハシボソともに反応しなかった。不審な音にハシブトのペアが偵察に来たこともあったが、電線に止まっているカラスでは反応が見られなかった。何回か試してみたが、どうやら海外のカラスの鳴き声には国内のカラスは反応しないようである。
そこで「カラス 喧嘩」で動画検索して、カラス同士が争っている国内の動画から音声をmp3で取得し、カーステで大音量再生してみた。この時はハシブト・ハシボソ両種のカラスに明確な反応が見られた。
数羽が飛来してすぐ近くの木にとまり、こちらを伺っては、ときどき車の上空をぐるりと回って元の木に戻るというのが典型的な反応であった。
カラスの大群の近くでこの音声を流すと、大量のカラスが頭上を飛び回って、まるでパニック映画のような光景に。カラスはかなり興奮している様子で、なかなか同じ場所にはじっとしていない。頭上に来る時は5m程の高さにまで飛んでくるので、かなり近く感じる。鳴き声に対するカラスの激しい反応に正直驚いた。
別の日の日没直前、例の鳴き声を大音量のカーステで流しながら、小さなカラスの群れの横を通過したところ、数羽のカラスが車を追いかけて飛んできた。カラスがいない場所で車を止めると、5~6羽のカラスが集まってきて頭上を飛び回っては近くの木に止まる行動を繰り返した。興奮したカラスの鳴き声には、カラスの群れを誘引する効果があるようである。
この時、止まり木までの距離は30mほど、上空での距離は20m弱ほどか? なかなかじっと止まってはくれないので空気銃では難しそうだが、真上に飛んできた時なら散弾銃で撃ち落とせそうな印象を受けた。
実はカラスの声を鳴らすのと合わせて、ミミズクとカラスのデコイを出して、カラスがミミズクに襲われているような雰囲気を出してみたのだが、カラスがこれらのデコイにに反応する気配は特に見られなかった。
一連の実験成果のまとめ。
海外のカラスの鳴き声は国内では効果ないようである。国内のカラスが喧嘩している時の鳴き声にはカラスが激しく反応し、誘引効果もある。ミミズクのデコイに興奮して攻撃する行動は確認できなかった。
次の駆除シーズンでは、この成果を活かして、散弾銃でのカラス駆除に取り組んでみたいと思っている。
実際に散弾銃でカラスを撃った時の反応を見るのが今後の課題だろう。カラスが銃声を危険だと学習して近寄らなくなるのか、あえて危険の正体を確かめに集まって来るのか、やってみないとわからないので、どうなるのか非常に楽しみである。
ちなみに、こちらのサイトで、「crow rag decoys」という黒いビニール袋を材料に使ったカラスのデコイの作り方とデコイ猟の様子が動画で紹介されている。
Video: How to make a crow rag decoy
http://www.shootinguk.co.uk/videos/how-to-videos/crow-decoying
作り方はすごく簡単そうで、しかもかなり効果を発揮しているようである。こんな安上がりな自作デコイで、あの頭の良いカラスが騙せるとは実に不思議である。
正月は実家に帰省して過ごした。実家と言っても、両親が引っ越した先なので、馴染みのない土地だし、知り合いもいない。
その上、正月に帰省すると、大抵天気が悪いので、ほとんど引きこもりの寝正月で過ごすのだが、今年は珍しく天気が良かったので、少し家の周りを散歩してみた。
私の実家は西日本にあり、周りには水田が多い。
もしかしたらこういう場所にはキジが生息しているかもしれないと思ったのだが、今までキジ猟のことなど一度も考えたことがなかったため、キジのいそうな場所の見当がまったく付かない。
馴染みのない土地で、今まで気にしていなかった生き物が相手となると、狩猟者としての勘が全く働かなくなる良い例である。
そうは言っても、正月で暇を持て余しているところだったので、この土地でキジ猟を始めるとしたら、どうやってキジの生息地を把握して猟場を開拓するか考えてみた。
キジの生態やバードウォッチャーによる情報などをネットで調べてみると、キジは4月から7月が繁殖期であり、この時期はオスが「ケ-ン、ケ-ン」と高い声で鳴くため、この声を目当てにキジが好むような場所を探せば、キジの姿が見つけやすいということがわかった。
この時期は当然狩猟は出来ないが、春の繁殖期の間にオスのディスプレイ行動が多くみられる場所を探しておけば、次の猟期にはキジに出会える確率が高くなるという訳か、と納得した。猟期に入ってから、姿の見えにくいキジを探して歩くより、はるかに堅実な方法である。
私が猟の対象にしているエゾシカでも、繁殖期である晩秋から初冬にかけては、発情したオスが高い声で鳴いて自分の存在をアピールする『ラッティング・コール』が盛んに聞こえる。
シカとの距離が近くなれば、例え姿は見えなくとも、あの斜面で鳴いているとか、あの木立の中で鳴いているというように、かなり具体的な場所もわかるし、慣れてくれば、ラッティング・コールの頻度から「この山はシカの密度が高そうだ」という見当がなんとなくついてくるようになる。
シカの場合、発情期はたいてい狩猟期間中なので、その情報はすぐその猟期に生かすことができる。
こうして考えてみると、普段は姿を見つけにくい生き物であっても、繁殖期に鳴き声によるディスプレイ行動を取るのであれば、猟期かどうかに関わらず、その鳴き声を探すことで、生息地の見当を付けるのに役立つ情報が得られるように感じる。
もちろん季節移動をする生き物であれば、繁殖期と猟期がずれていると、繁殖場所の情報は猟期には役に立たないこともあり得る。それにしても、狙った獲物の生態を調べ、猟期以外にも野外を歩いて情報収集することはとても大切だと思うのである。
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by kikyo-ya3
| 2017-01-05 19:01
| 狩猟
先日、スコープ付きのライフルを、部屋の片隅においた姿見に向かって構える練習をしていた際に気がついた。鏡に映ったスコープの内側をのぞき込むと、レティクルの反射像が拡大されて見えるのだ。
スコープの中のレティクルと、鏡の中のレティクルを重ねてみると、銃の揺れがすごく良くわかる。これは良い練習になると思った。
銃を構えた時、銃が揺れているのは自覚できても、どちらの方向に動いているかということは結構わかりづらい。特にバイポッドを使った依託射撃の構えなどでは、銃の揺れ自体が小さいので、なおさらである。
それが鏡の中のレティクルに照準を合わせる練習だと、銃がどちらに動いているのか一目瞭然だし、わずかな銃の揺れでもはっきりと確認することができる。
もしかしたら私が知らなかっただけなのかもしれないが、自分としてはなかなか面白いことを発見したと思う。ただし、鏡と正しく正対していないと鏡の中のレティクルの中心は見えないので、鏡との位置と角度にはちょっとしたコツが必要である。
つい先日、室内でライフルの挙銃・空撃ち練習をやってみた。スコープで鏡に反射するレティクル像の中心を狙って、うまく重なった時に引き金を引く練習である。
主に膝射姿勢で練習したが、なかなか銃が止まらない。しかし、レティクルの反射像とのずれで、銃がどちらに動いているかということはよくわかる。
レティクルの反射像を狙い引き金を引く練習を重ねていくうちに、銃の揺れ方についての自分の癖がなんとなくわかってきた。
私の場合、頬骨を銃床のチークピースにひっかけるようにうまく頬付けできた時は、レティクルはあまり上下には揺れず、主に左右方向にだけ揺れることに気づいた。
うまく上下方向の揺れを抑えられた時は、ちょっと極端な話をすれば、レティクルは振り子のように左右に揺れる。そこで、中心に重なった瞬間ではなく、振り戻るタイミングを見越して少し早めに引き金を引くことで、うまく中心が重なったときに撃鉄が落とせることもあった。
これまでは、狙点の中心でなんとか銃を止めようとしてきたが、銃が止まった瞬間に慌てて引き金を引くことで、かえってガク引きになってしまっていたように思う。このような話は静的射撃の競技者の方には常識かもしれないが、もっと練習を重ねて、こういう感覚を使いこなせるようになりたい。
さて、しばらく練習を続けて、膝射の練習に疲れたので、室内にスキーストックを持ち込んで、膝射の姿勢で、十字に組んだストックの交点に先台を依託して撃つ練習に切り替えた。
この構えだと、レティクルの揺れは非常に小さくなり、上下方向にしか動かなくなる。
スキー忍び猟を考えれば、この構えをもっと練習するのが良いと思った。
このように、スコープ付きの銃で、鏡に映ったレティクルを狙う練習はなかなか面白い。興味のある方は一度試してみてはいかがだろうか?
エゾシカ猟を始めたいけど、どこに行けばシカに出会えるのかわからないという人が、自分ひとりで経験値を上げたいなら、とりあえずデジカメを持って鳥獣保護区に行ってみることをお勧めする。
ハンターマップとカレンダーが読んだかのように、猟期になるとシカは鳥獣保護区に逃げ込む傾向があるので、出会いの確率がとても高くなる。
土地管理者による立ち入り制限がされている場所でない限り、銃を持たずに写真を撮りにいくのなら、鳥獣保護区に入るのに何の問題もない。むしろ他の狩猟者と出会う心配が無いので都合がいい。
シカの密度の多い場所を沢山歩いていれば、シカが好む場所や、行動パターンなどが段々わかってくる。
相手に気づかれる前にシカを発見し、写真が撮れる距離まで近づくというのは、とても良い銃猟の訓練になる。
「たかが写真…」と侮ってはいけない。芸術的な写真である必要は全くないので、試しにやってみればいい。野生動物の写真を狙って撮ることの難しさがすぐにわかると思う。
もしシカの写真が自在に撮れるようになれば、銃で撃てる距離までシカに近づくことも上手くなる。少なくとも私はそう考えている。
初心者の方は、なかなかシカが捕れないことに焦りを感じるかもしれない。しかし、月並みな言い方ではあるが、「大物猟は1日にしてならず」である。
シカの足跡を見て、シカ道を辿り、樹皮の食痕や寝屋の跡などを探して歩くこと。その行為に費やした時間が自分の経験値になる。
誰もがそういう経験を重ねながら、自分なりの猟のスタイルや猟場を見つけてきたのである。
雪があれば足跡が残るので、他の時期よりも探索が容易である。ある程度雪が閉まった方が歩きやすいので、エゾシカの探索をやるなら、年明けから4月上旬までの方がやりやすい。まだまだシーズンは始まったばかりである。
今から経験したことは、そのまま次の猟期に向けた準備になる。
実際にやってみるかどうかは自分次第だ。
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by kikyo-ya3
| 2016-12-22 19:07
| 狩猟
「都市部を中心に、、行き場のない初心者ハンターが増えている」といった主旨の記事を読んで、なんか過保護だな…と思った。
その記事自体が相当胡散臭くて、狩猟教育をビジネスにしたいという意図が透けて見えたので、そんなものに頼らなくても狩猟はできるはずだろ? という気持ちで自分の意見を書くことにする。
狩猟免許を取ったばかりで、実際にはまだ出猟出来ていない人に向けたメッセージである。オッサンの小言が嫌いな人は、これ以上読み進めないほうが良い。
これだけSNSが発達し、特に大都市圏周辺での狩猟関係イベントの情報や、銃砲店からの情報発信を毎日のように目にするのに、「狩猟免許は取ったけど、何から始めていいかわからない」なんて言ってる人がいたら、よほど情報収集をサボっているか、自分から行動するのが面倒な人なんだな、と正直思う。
都市部周辺なら、ちょっとネットで検索すれば、いくらでも狩猟者とのつながりを持つ機会が見つかる。猟友会関係は抜きにしてもだ。
地方だとそういうイベントなどの機会はどうしても少なくなるが、それでも最近は全国で何かしらのイベントが行われるようになってきている。
試しに「<都道府県名> 狩猟 体験」でGoogle検索してみればいい。私も全国でひと通り試してみたが、近隣都府県を含めれば、狩猟やジビエに関わるイベント、体験ツアー、講習会等の情報がヒットしない地方はなかった。
ちなみに少し検索に手こずったのは秋田と沖縄である。それでも、秋田は「秋田 マタギ 体験」、沖縄は「八重山 イノシシ猟 ツアー」でググるとツアー情報が見つかった。1つの検索に5分もかかっていない。
猟友会の敷居が高いというのなら、まずはそういうサービスにお金を払って体験を買えばいい。
そうは言っても、「お客さん状態」を脱却して主体的に狩猟に関わるには、何らかの方法で狩猟仲間を見つける必要はあると思う。そういう面では、田舎に住んでいる人のほうが有利かもしれない。田舎では田舎なりの人のつながりがあるので、狩猟関係者には割りとすぐ突き当たるし、なにより猟友会の存在感が大きいからだ。
ところで、猟友会に所属していれば、部会の会合、支部総会など、地元の狩猟者と顔を合わす機会は必ずあるはず。
「猟に誘ってくれる人が見つからない」と言っている人は、そういう場にちゃんと顔を出しているのだろうか? あるいは、地元の銃砲店に弾を買いに行ったついでに、ご店主やそこにいる客全員に自分から名乗って挨拶して、少しずつ顔を覚えてもらうといった努力をしたことがあるだろうか? そういう努力を惜しんでいる一方で、「誰も誘ってくれない」などと言っていては駄目だと思う。
ネット上ではときどき『野良ハンター』などという言葉を目にすることがあるが、私はその言葉が大嫌いである。もしもそんな状態に甘んじている初心者ハンターが本当にいるのだとしたら、「もっとしっかりしろよ!」と言いたくなる。
自ら学ぶチャンスはいくらでも転がっている。最初の一歩ぐらい自分で踏みだすべきだろう。
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by kikyo-ya3
| 2016-12-21 18:18
| 狩猟