シカ道をたどっていくと、シカの休憩場所、いわゆる寝屋を見つけることが多い。
私が寝屋をよく見かける場所は、見晴らしの良い小尾根の上、その中腹の南向き斜面、間伐遅れの人工林の中などである。おそらく外敵への警戒、日向ぼっこ、吹雪からの避難といった理由から便利な場所を選んでいるのだろう。
そういった場所以外では、平地や川岸に寝屋がある場合も多い。
深い雪の中を水飲み場まで移動する労力を最小限に抑えるためだろう。
川辺の太いハルニレの根元や、折れたヤナギの梢の下に寝屋があることも良くある。すぐ脇の木をかじりながら、その場で糞をして、時々川で水を飲む、という省エネ生活で面白い。
そして見逃してはいけないのが林道にかかっている橋の下である。
周囲から見えにくく、風雪をしのげる橋の下を好むシカは多い。
橋の下をこまめに見てまわって、新しいシカの足跡と大量の糞が見つかったなら、そこはシカのシェルターになっている。川沿いから離れないシカが多いという期待が持てる。
川沿いにスキー忍び猟を行う際の重要な判断基準である。