雪の中をスキーで移動する時は、歩く労力をなるべく節約したい、川を渡るときに水に濡れたくないと強く思うものだ。
それはシカも同じらしく、ここを通ったら一番楽そうだというルートにシカの足跡が付いていたり、私がスキーで踏んだトレースをシカが利用したりすることも多い。
そういう時は、「わかるぞ、兄弟!」という共感を覚える。
深い雪の中で移動するのは、エゾシカにとってもやはり大変なのだろう。山の中でも、なるべく体力を消耗しないように移動ルートを工夫している印象を受けることがよくある。
複数のシカが同じルートを通って雪を踏み固める「シカ道」はその典型例だが、除雪された林道、スノーモービルや雪上車の踏み跡、スキーのトレースなどをシカが利用しているのもよく見かける。
雪が深い地域では、水飲み場に通うルートにシカが歩きやすいようなきっかけを作ってやれば、餌を使わなくてもシカを誘引する効果が期待できると私は考えている。