前回のご報告からずいぶんと間が空いてしまいましたが、ようやく今回から、私が初めての獲物を手にするまでの過程をお送りします。
とりとめのない文章のため、だらだらと長くなってしまいましたので、何回かに分けることにしました。私にとっては生涯初の強烈な体験でしたので、出来るだけ詳しく記録に留めておこうと思います。
きわめて個人的な体験記ですが、初心者ハンターの皆様にも何かの参考にしていただければ幸いです。
それでは、スタートです。
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2006年12月9日(土)薄曇り
久々に雪の降っていない週末です。
雪は昨日の晩から降っていませんでしたので、今日こそはシカの動きも期待できそうです。
天気予報では、今日の午後からまた崩れるとのことでしたので、今週末の猟は、今日の午前中が勝負だと気合いを入れました。
夜明け(AM6:50)少し前に出発。
車で10分ほど走って最初の猟場に到着しました。
ここは先日2頭のオスジカと遭遇した沢に続く農道です。
先日この道の除雪に入った重機のオペレーターさんが、農道の上で8頭くらいの群れと出会ったと教えてくれました。
その人によれば、シカ達は除雪している重機のすぐ前をずっと走っていくので、今にも重機のバケットがぶつかりそうだったとのこと。
「あの距離なら、桔梗屋(仮名)さんでも当たるべさ。明日行って獲ってきたら~(笑)」
ちょっと悔しい言われようですが、私にとっては確かにありがたい情報です。
ホントに持つべきものは地元の友達ですね。
さて、その人がシカの群れを見かけたのは、国道からの分岐近くだったとのことでしたので、今日は除雪したばかりのその農道をゆっくり流しながらシカの痕跡を探します。
ところが、シカの群れはおろか足跡すら見られないまま農道の終点まで着いてしまいました。
昨日のオペレータさんが見た足跡は除雪の時に消されてしまっていますが、その後に新しい足跡は付いていないようです。
終点の車止めに停車して、しばし迷いました。
このままスキーに履き替えて沢の奥まで忍びで入るか、それとも、先週の日曜日に忍びに入った、よりシカの痕跡が濃かった沢に入るか…
一度忍びに入ってしまえば、最低でも2時間は取られてしまいます。
既に日の出から30分は経ってしまいましたので、見込みのない沢にこれ以上時間を費やしたくはありません。
うだうだ悩んでいてもしょうがないので、今日の忍び猟はもう1つの沢に入ることを決心して、そちらに車を回します。
2つ目の猟場に続く村道の終点に到着したとき、こちらが大当たりだと判りました。
なぜなら、除雪の終点にある車止めのすぐ脇にある畑には、出荷の余りと思われる廃棄された農作物(ビート)の山が出来ていたのです。
そういえば、昨猟期もこの時期、同じように廃棄されたビートの山が出来ていて、それを目当てにしたシカの足跡が大量についていたのを思い出しました。
昨年は、このビートの山を目当てに山奥から川沿いに通ってくるシカの踏み跡が、まるで高速道路のように出来上がったものです。
既に周辺には、今朝のものと思われる真新しいシカの足跡がいくつか見られます。
今日はまだそれほどの足跡は付いていませんが、この場所にこうして大量の食べ物が捨てられていることが判れば、いずれ沢の奥からここまで通ってくるシカが出てくるに違いありません。
うまいことに足跡の1つが目指す沢の奥に続いていましたので、いそいそとスキーを履いてその足跡を追うことにしました。
すでに時刻は8時近くなっています。急がないとシカ達がまた鳥獣保護区に逃げ込んでしまいそうで、気持ちばかりが焦ってしまいます。
ところが、歩き出してすぐに追ってきた足跡は沢の奥へと続く道からそれて、すぐそばの山に登ってしまいました。
そこはもう鳥獣保護区です・・・がっくり。
しかたがないので、厳冬期にはシカ道が出来るはずの川沿いに進路を変えます。
ところがこちらもまだ河道が雪で塞がっておらず、川に沿ったシカ道も出来ていません。
やっぱり今週はまだ秋の行動パターンなのでしょうか?
まあ、今日は獲れなくてもしょうがないか。
こうして作物捨て場までの道を踏んでおけば、そのうちにシカも手前まで出てくるだろうし・・・
既に今日も獲れないだろうという考え方がありありです。
ボウズ続きで、すっかり考え方が後ろ向きになっていた私です。
こうして川沿いの土手の上を歩くこと数分、平坦な雪原は雪も大分締まって歩きやすく、薄日を浴びて木々の枝は美しくきらめいていて、気分はなんだかハイキングのようです。
すぐ側の枝にとまっている2羽のカケスはつがいでしょうか?
雪の中に映える色彩にみとれてながら歩を進めると、少し前方にシカの足跡が縦横に付いているのを発見しました。
あらま、新しい足跡だわ~、どっち行ってるのかな~、などと暢気に近づいて足跡をのぞき込もうとしたその時、視界の上の方で何かが動くのが見えました。
はっと顔を上げた私の目に、シカが前方右下の木立から飛び出してきて、土手の上に立ち止まったのが映りました。
オスジカです!しかも2頭!!
(次回、射撃編に続きます)