かつて軽量非鉛サボット弾(463gr)を詰めていた経験から、軽量サボット弾の薬量を手探りで見つける方法を書き留めておく。人にアドバイス出来る程の成果は上げていないし、下手に真似をすると大事故につながる内容なので、あくまでもひとり言のつもりである。
まず、既存のデータを徹底的に探す。有名な「Lyman Shotshell Reloading Handbook」以外にも、「Reloading shotshell」でググると、ショットシェルの手詰めに関するペーパーバックは結構見つかる。LYMAN以外の本には重量の異なる様々なスラッグ弾のレシピが載っていることが有るので、自分の弾頭に近いデータを見つけて、それを最初の手がかりにする。
また国内の銃砲店の中には、ワッズを購入するだけで、参考用リロードデータを教えてくれるところもある。正直、弾頭・ワッズの組み合わせが同じなら、一度こういう店を利用してデータを教えてもらった方が手っ取り早い。
http://sefa-japan.la.coocan.jp/ShotWads.html
信用できる既存データが無く、あくまでも手探りで薬量を見つけると仮定して話を進める。私はかつて、12GAハーフライフル銃身で463gr弾頭を撃つのに、IMR7625を35gr詰めていたことがあるので、これをひとつの目安とする。より軽い弾頭で、燃焼が遅い火薬を使うなら、最大薬量はこれよりも多くなる可能性がある。逆に弾頭が重く、燃焼が速い火薬を使うなら、薬量は少なくする必要がある。
サボット弾はある程度弾速を上げなければ精度が出ないので、グルーピングを追求する前に、その銃で安全に撃てる最大薬量を探っていく。最大薬量は弾頭重量だけでは決まらないので要注意。ワッズとライフリングの抵抗により、銃身内のガス圧が非常に高くなる危険があるので、実射テストの薬量は、予想最大量から10grくらい少ない量から始める。
予想最大薬量が35grなら、25grくらいから1grずつ薬量を増やした装弾を2・3発ずつ作っておく。それを撃ちに射撃場に行くのだが、出来れば射撃場で追加の手詰めが出来るように、リローディング用品を一式持っていくのが望ましい。
ボアサイティングを済ませた銃で、出来るだけ近い的紙を撃つ。ここではグルーピングは気にしないのだが、ここでうまく的紙に入ってくれるなら後でサイト合わせが楽になる。とにかく1発撃つごとに雷管と薬莢の状態を注意深く観察し、安全を確認しながら慎重に薬量を上げていく。
ボアサイティングさえしっかりしてあれば、薬量を上げていくうちに、急にピントが合うように、弾が思い通りの場所に当たる感触が得られる時がある。そういう感触があった薬量はメモしておく。
高い燃焼圧による危険な徴候は、雷管の潰れ具合や排莢のしづらさとして現れる。そのような兆候が少しでも見られれば、そこを最大薬量とみなす。
もし銃口周囲に燃え残りの火薬の粒が飛び散っているようなら、火薬の燃焼速度が遅くて燃えきっていない証拠なので、それ以上薬量を上げても無駄である。それまでの試射でいい感触が得られていないようなら、より燃焼速度が速い火薬に見直す必要がある。
もし危険な兆候が見られる前に、一度狙い通りに飛んだ弾がまた大きく外れるようなことがあれば、適正薬量を過ぎた可能性があるので、それ以上の薬量追求はしないというのも手である。ただし薬量を上げていくうちにまた精度が上がることもあるので、予想最大薬量までは、用意した弾をひと通り撃ってみるのもいいだろう。
そうして安全に撃てる最大薬量を見極めたら、そこから少し下げた薬量で、出来るだけいい感触のあった薬量を中心に、1grずつ薬量を変えながら、5発ずつ新しい弾を詰める。その5発を使って、十分に冷えた銃身から撃ったグルーピングのテストに進む。
以上が、私がこれまで行ってきた薬量テストの方法である。
下手に真似すれば死にかねないので、決して人にはお勧めしないが、こういうやり方もあるという話。