日曜日、朝からシカ肉のブラウンシチュー作りに取り掛かったのだが、仕込みに昼過ぎまでかかった。
圧力鍋で下茹でする代わりに、アヒージョ風のオイル煮にしてみたのだが、えらく手間がかかった割にはうまくいかなかったので、正直凹んだ。
そもそもなぜ、シカ肉シチューの下拵えとしてオイル煮に挑戦したかというと、次のような経緯がある。
シカ肉シチューを作る前段階として、ひと口サイズに切ったシカ肉を肉の表面を焼いた後、圧力鍋で加熱して柔らかくしているのだが、その加熱の仕方について、これまで試行錯誤を重ねてきた。
最初に行っていたのは、圧力鍋で水から下茹でする方法。この煮汁は捨てていたり、シチューの仕込みにスープとして使っていたりと、いろいろ試していたのだが、表面を焼いただけの肉を水で煮込むと、肉の旨味が水に溶け出して、肉自体もかなり固くなって縮んでしまう。せっかくの肉の旨味がもったいない。
そこで次に試してみたのが、圧力鍋で蒸してみるという方法。この方法によって、肉の旨味はうまく封じ込めることができ、肉の収縮もいくぶん抑えられたのだが、肉の表面が乾いてパサパサになってしまうという欠点があった。乾いてしまった分は、煮込むうちに水分を吸収するのでそれほど問題ではなかったのだが、もう少ししっとりとした仕上がりにならないかと思っていた。
そこで、オイル煮にすることで肉の油分を補えないか? と考え、圧力鍋を用いたオイル煮の手法を試してみた。具体的には、ひと口大に切った鹿肉の表面を焼いてから、ニンニクと一緒にステンのボウルに入れ、オイルでひたひたにしてからアルミホイルで蓋をし、圧力鍋で蒸すという手法を使った。
かなり美味しく仕上がると期待していたのだが、蒸しあがったボウルを取り出してみると、注いだオイルとほぼ同量の肉汁がボウルの下半分に溜まっていた。比重の違いから、オイルと水分が分離しているので、肉から逃げた肉汁の量がはっきり確認できる。水分が出た分、肉は固く収縮してしまった。むしろ水で茹でるよりも大量の肉汁が、オイルの中にしみ出してしまったような印象すらある。
下ごしらえが終わった段階で味見してみたが、正直あまり美味しくない。
肉の固さは、シチューに入れて煮込んでも回復できないくらいだった。
シチューの下ごしらえとしてこれまで試した手法の中では、圧力鍋で蒸す手法が一番良いと思った。オイル煮にするのに手間がかかった割りにはあまり美味しくならなかったのはとても残念である。
もし鹿肉をオイル煮にするなら、肉が固くならないように、ゆっくりと低温で加熱したほうがいいと感じた。アヒージョというよりもコンフィにすればよかったのだろう。今回は圧力鍋と組み合わせた私の判断ミスだった。
ただし、圧力鍋でオイル煮にするという調理法がそのもの悪かったわけではないとは思う。
使用した鹿肉の部位と加熱方法の相性が悪かっただけで、肉の特性を読み違えた私の経験不足である。材料や加熱方法の組み合わせを変えれば、もっと美味しく調理出来るはずだ。
今回は残念な結果だったが、これも勉強である。
反省して次の機会に生かそうと思う。