シカの脂肪から抽出した「鹿油」が、かかとのひび割れに効くという情報を見たので、さっそく試してみたところ、数日続けて使っただけで、本当にかかとがツルツルになったので驚いた。
ただし、てんぷら鍋で加熱して油を抽出したせいか、使うたびに手が揚げ物のにおいになってしまうのが難点。実はこれもネットにあった経験談の通りである。
何かもっと良い抽出方法がないかと考えていたところ、Twitterのフォロワーさんから、シカの脂肪を細かく刻んでから大量の湯で煮て、浮いた油を冷やしてすくうという方法を教えていただいた。
以前抽出した鹿油は、瓶詰めにして使っているのだが、常温では蝋のような固形で、体温でわずかに溶けるだけである。爪で削り取っても、ポロポロと崩れて非常に使いづらい。
なんとか柔らかくできないかと考え、常温のまま、瓶の口に少しオリーブオイルを垂らして練ってみたら、練った部分がクリーム状になって格段に使いやすくなった。鹿油とオリーブオイルの配合をうまく調整すれば、使いやすい鹿油クリームが作れそうである。
今のところ、適切な配合比がわからないので、常温で固形の鹿油に少しずつオリーブオイルを加えながら練っていき、オイルの量で固さを調整するのが良いと思った。
ここまでが以前Twitterに投稿した話である。以上の方法を組み合わせて、解体した時に取っておいたシカの脂肪から、本格的に鹿油クリームを作ってみた。
まずは脂肪を細かく刻んで、多めの水を入れた圧力鍋で加熱した。普通の鍋でも良かったのだが、煮込み時間を少なくして、出来るだけ多くの油を抽出するために今回は圧力鍋を使用した。
15分加圧して、圧が抜けるまで放置。スープ状になった湯と油の混合液から、溶け残った脂肪や肉の破片を手持ちザルと茶こしで丁寧に掬って捨てた。今回はやらなかったが、温かいスープの状態でキッチンペーパーなどで濾せば、不純物をきれいに取り除くことが出来ると思う。
室温で数時間放置して冷ますと、水と油がきれいに分離し、表面に浮いた油が白く固まっていた。
割って取り出してみると、まるでホワイトチョコレートのようである。これをキッチンペーパーの上に並べて水気を取った。
この鹿油の板は、手で簡単に折れるが、室温程度ではぽろぽろと崩れてしまい、全く粘り気がない。そこで、常温のままオリーブオイルを加えてヘラで練っていく。この時加熱はせず、鹿油の固さを見ながらオイルを少しずつ加えていった。
最終的には、約850gの鹿油に対して、大さじ3杯のオリーブオイルで、私好みの柔らかさの鹿油クリームが出来上がった。添加するオリーブオイルの割合は自分の好みで調整すると良いだろう。
出来上がった鹿油クリームは、ジャム等の空き瓶に入れて保存しているが、時間が経っても鹿油とオリーブオイルが分離する様子はない。クリーム状になったことで、使い勝手は非常に良くなった。
私自身の体で試してみる限り、風呂上がりなどにかかとに塗り続けていると、ひび割れが軽減し、白い角質が目立たなくなった。
手作りした鹿油クリームを人に譲渡すると薬事法に違反してしまうので、この鹿油クリームを入手するには、今のところ自作するしか方法がない。もし興味がある方で、シカの脂肪を手に入れる機会があれば、上記の方法を参考にして作ってみてはいかがだろうか?